「その旨を伝える」の使い方・読み方とは?例文や使い方

ビジネスシーンをはじめとして、何か指示や情報を伝えるときに「その旨を伝える」という表現を使う機会は多くあります。比較的よく見聞きする表現なので簡単に使えそうですが、使い方を誤るとミスコミュニケーションの原因となる可能性があるので、使い方には注意したい表現です。

そこで今回は、「その旨を伝える」の意味や「その旨」の使い方や例文、使う際の注意点を解説します。

「その旨を伝える」の意味

「その旨を伝える」は、ビジネスシーンに限らずプライベートでも広く使える表現です。

「旨(むね)」には、大きく分けて2種類の意味があります。一つは「中止となるもの」「中心的な意味」で、もう一つは「意味」「趣旨」「主な話の内容」です。「その旨を伝える」では2つ目の「趣旨」や「主な話の内容」という意味で使われています。

「その旨を伝える」とは、特定の情報など第三者に正確に伝えてもらうよう依頼する際に使われる表現です。「その旨」を使うだけでは意味がなく、必ずその前の文脈に指示や情報が存在しています。相手が伝えてきた内容をまとめて「その旨」と表現することがあれば、自分自身で説明した内容を最後にまとめて「その旨」とする場合もあります。

「その旨」の使い方と例文

「その旨を伝える」は情報などを第三者に伝えてもらう際に使いますが、「伝える」以外にも「その旨」を使えるシーンがあります。そこで、「その旨を伝える」と併せて押さえておきたい、「その旨」の使い方を例文とともにご紹介します。

情報や指示を伝えるとき

ビジネス上で「その旨を伝える」を使うのは、重要な指示や情報を第三者にしっかりと伝えてもらうように依頼するときです。例えば、会議に欠席したメンバーに会議の内容をきちんと伝達してもらうとき、上司からの指示や取引先の情報を他の従業員と共有するときなどにもよく使われます。

【例文】

・責任を持って、○○にその旨を申し伝えます。

この場合の「その旨」は、直前の会話や文章で指示や依頼を受けていることが前提です。

・明日の会議は中止とのこと、承知いたしました。担当の〇〇にその旨を伝えさせていただきます。

伝えられたことを了承するとき 

何か指示や情報を伝えられたとき、その内容を了承する際には、「その旨承知いたしました」と答えます。直前に聞いた話の内容を、「その旨」のみでまとめられるので、同じ言い回しを繰り返すことを避けられます。

この場合の「その旨」は直前に伝えられた指示や情報の内容を指すため、前もって何も情報がない場合に「その旨」のみを使うことはありません。

【例文】

(対応を求められたとき)その旨、承知いたしました。対応させていただきますので、少々お待ちいただけますでしょうか。

上記の場合の「その旨」は、対応の内容を指します。

何かを伝えてもらうとき

指示や情報を出した側が、第三者にその内容を伝えてもらうよう依頼する際は、「その旨をお伝えください」を使用します。この場合も、「その旨」の内容をあらかじめきちんと説明していることが前提です。

連絡をもらえるようにお願いするときにも同様に「ご連絡ください」と「組み合わせて使えますが、この場合も直前に「その旨」にあたる内容を説明する必要があります。

【例文】

・ご依頼いただいた件の対応が完了いたしましたので、その旨をお伝えいただければ幸いです。

・作業が完了した際は、その旨をご連絡ください。

「その旨」の言い換え表現と例文

「その旨」は、直前の内容をまとめて表現できる便利な言い回しではありますが、何回も使うことは好ましくありません。言い換え表現は「その旨」よりも若干長くはなりますが、複数回使いそうなときは言い換え表現を活用すると文章がくどくなることを防げるのがメリットです。

・「今の話の内容」

直前の話の内容について示す表現で、「話」という単語が含まれていることから、文章よりも口頭で使われます。「その旨」よりも柔らかい印象がありカジュアル過ぎない表現なので、ビジネス上の会話で目上の人や上司に対しても使えます。

【例文】

今の話の内容は、部署内で共有いたします。

会議やミーティングなどで話した内容を共有する際に、上記の様に使用します。

・「そのことについて」

どちらかというと、フランクな会話で使われる言い換え表現です。「その旨」よりもカジュアルな表現なので、ビジネスシーンよりもプライベートで使いやすいでしょう。ビジネスシーンでも、目上の人や取引先などには使いにくいものの、同僚や部下などに対しては使いやすい表現です。

【例文】

先ほどのミーティングで議論した内容をよく確認し、参加していないメンバーにはそのことについて詳しく伝えておいてください。

「その旨を伝える」を使う際の注意点

「その旨を伝える」という表現は、直前の話の内容などをまとめて表現できる便利な言い回しですが、使う際には注意すべき点がいくつかあります。「その旨を伝える」を使うときは、以下のポイントに注意しましょう。

「その旨」が示す内容を明確にする

「その旨」とは、指示や情報がその前のやり取りで認識されているときに使われる言い回しです。直前の話題を短くまとめて表現できるので、重複も防げる便利な言葉ではありますが、使い方を誤ると何を「その旨」が表しているのかわからなくなり、ミスコミュニケーションの原因となってしまいます。

特に、ビジネスシーンで使う際は指し示す内容が曖昧となるとさまざまなトラブルの原因になりかねません。場合によっては、重大な損害の原因となることもあるでしょう。そのため、「その旨を伝える」を使う場合は、「その旨」にあたる指示や内容を明確にすることが大前提です。相手に正しく「その旨」の内容が伝わっているかどうかに注意して使う必要があります。

 使うシーンに注意する

「その旨を伝える」は、ビジネスシーンだけではなくプライベートでも使える表現です。しかし、家族や友人などの親しい間柄で使うには、堅苦しい印象を与える可能性があります。ビジネスで正しく使う分には問題はないものの、もっと柔らかくカジュアルな印象にしたい場合は、前述した「そのことについて」などの言い換え表現を使う方がおすすめです。

使いすぎない

「その旨」は、使う前にきちんと指示や情報の詳細が説明されている上で使うものです。しかし、「その旨」を使いすぎてしまうと、 何のことを指すのか不明瞭になってしまいます。

直前の内容を指すことが一般的な「その旨」ですが、話の流れで複数回使ってしまうと明確にしたはずの内容がわかりにくくなる上、くどくなってしまいます。何回も使うことは避け、前述した言い換え表現を使うように心がけましょう。

指し示す内容を明確するのが「その旨を伝える」を使うポイント

仕事やプライベートで、誰かから伝えられた指示や情報を別の人に伝える際に、「その旨を伝える」が使われます。直前に得た内容を「その旨」でまとめられるので便利な表現ですが、指し示す内容が曖昧であったり「その旨」を複数回使ったりしてしまうと、正しい情報が伝わらない可能性があります。そのため、「その旨を伝える」を使う際は、正しい使い方を心がけることが大事です。

今回解説した内容を参考に、「その旨を伝える」という表現を上手に使用しましょう。

フリーランスメディア編集部

レイです。
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