「ら抜き言葉」や「さ抜き言葉」は日常でもよく使われている言葉です。
しかし、使うシチュエーション次第では間違っている場合もあるため、正しい使い方をマスターする必要があります。
この記事では、「ら抜き言葉」や「さ抜き言葉」の正しい使い方を分かりやすく解説します。
ら抜き言葉とは
「ら抜き」言葉とは、言葉の通り「ら」が抜かれた言葉のことを言います。基本的には、可能を表す動詞「られる」から「ら」が抜かれてしまった言葉のことです。
「食べられる」としなければいけないものを「食べれる」としてしまうのがよくある例でしょう。
一見すると、「ら」が無くなっただけで問題がないように思われます。
「ら抜き言葉」は日本語として間違った使い方とされています。
ら抜き言葉のよくある使われ方
「ら抜き言葉」の代表的なものとしては「見れる・食べれる・来れる・寝れる」というものがあります。
例えば「見れる」は、「見る」に可能の助動詞である「られる」がついた「見られる」が正しい言葉です。
この「見られる」から「ら」が抜かれた言葉が「見れる」となります。
昭和初期から使われ始めた
文化庁によると、この「ら抜き言葉」は、昭和初期から話し言葉として使われ始め、戦後に増加したとされています。[引用]文化庁 新しい時代に応じた国語施策について
特に、若い世代で多く使われ、その増加傾向から可能を表す表現の体系的な変化であると言えます。
ら抜き言葉になってしまう理由
一般的に、「可能」であることを表す場合「られる」とつける場合と「れる」を付ける場合の2つの方法があります。
例えば、「書く」の場合、可能表現は「書ける」となり、もともと「ら」が付かないため「ら抜き言葉」にはなりません。
しかし、「着る」の場合は、可能表現が「着られる」のため「着れる」は「ら抜き言葉」になってしまうのです。どれが「られる」でどれが「れる」なのかは判断が難しいものでもあります。
そのため、本来であれば「られる」が正しい言葉でも「れる」を誤ってつけてしまい「ら抜き言葉」になってしまうことが理由とされています。
ら抜き言葉は間違い?
日常会話としてはよく見聞きする「ら抜き言葉」ですが、日本語としては現時点では誤りとされています。
友人間などの気心の知れた間柄では問題ありませんが、ビジネスシーンや文章を書く場合などは注意する必要があるでしょう。
さ抜き言葉とは
「ら抜き言葉」同様に誤った使い方として代表的なものが「さ抜き言葉(さ入れ言葉)」でしょう。
「さ抜き言葉」とは、謙譲語である「~せていただく」に不要な「さ」が入ってしまう言葉のことを言います。
さ抜き言葉のよくある使われ方
次の文章はどう感じるでしょうか?
・読まさせていただく
・休まさせていただく
・歌わさせていただく
上記はすべて「させて」の「さ」は必要ありません。
正しい使い方は次のとおりです。
・読ませていただく
・休ませていただく
・歌わせていただく
上記は、一見謙譲語のつもりで使われることが多い表現です。
しかし、丁寧なつもりでも日本語としては間違っています。ビジネスシーンやライティングでは避けるべきでしょう。
頻繁に見受けられるのが、歌番組で「今回、歌わせていただく曲が〜」とミュージシャンの方が語っていますが、「日本語として使い方が間違っている」と言えます。
さ抜き言葉(さ入れ言葉)の見分け方
誤って「さ入れ」してしまわないためには、まず活用の未然形である「ない」で考える必要があります。
本来「せていただく」と表現する言葉は、五段活用動詞です。
そのため、五段活用動詞は「せていただく」、それ以外は「させていただく」が正しい表現となります。
五段活用動詞の見分け方として、「ない」という未然形にすると、「ない」の前の母音は「あ」になるという特徴があります。
例えば、次はどうでしょうか。
・歌う
・話す
・食べる
・置く
上記の場合の、未然形は次のとおりです。
・歌わない
・話さない
・食べない
・置かない
そのため、「ない」の直前の母音が「あ」となる「歌う」「話す」「置く」が五段活用動詞となり「せていただく」が正しい表現となるのです。
・歌わせていただく
・話させていただく
・食べさせていただく
・置かせていただく
敬語を使っているつもりでも、なんだか違和感がある場合は誤って「さ入れ」している可能性があります。
「さ入れ」の正しい活用法を理解し、上手に使い分けるとよいでしょう。
「ら抜き言葉」と「さ抜き言葉」について紹介しました。
必要な「ら」を抜いてしまう「ら抜き言葉」や不要な「さ」を入れてしまう「さ抜き言葉(さ入れ言葉)」は、日常会ででもよく見聞きしますが、間違った日本語表現です。
とくにライティングでは、正しい日本語で伝える必要があり「ら抜き言葉」や「さ抜き言葉」を避ける必要があるでしょう。
この記事を参考に、それらの使い分けを理解し、正しく伝えられる文章が書けるようにしましょう。